年老いたヨーロッパの哲学

ネグリ『とその彼方』の下巻、『的ポスト近代の政治哲学』から、気になる2編のうち「年老いたヨーロッパの哲学」という講演録の「ことば」を抜粋し、勝手に切り貼りしてつなげてみた。もわかりにくいと思っていた話が、ネグリの見るヨーロッパという塊の動…

地球生命は自滅するのか?

副題、ガイア仮説からメデア仮説へ。著者・ピーター・D・ウォード、っていう本を読んだ。BMのIさんからのいつもの依頼で。でもこれ書評にできるかしら、と渡す前に言いたいこと書いてみた。 まずナナメ読みして拒絶感があった。決定論的なのだ。地球を救…

帝国とその彼方…ネグリ本2冊

ネグリ講演集 <帝国>とその彼方・<帝国>的ポスト近代の政治哲学 を読んだ。 とても難しく、220ページほどの文庫上下巻2冊をツーキン電車の行き帰り何度も読み返しては1ヶ月もかかってしまった。結論は、素養の不足ゆえ(わからない用語多し、ヨーロッ…

自由主義者

時々blogを読ませてもらっている池田信夫さんが書いた『ハイエク−知識社会の自由主義』を読んだ。本の中では妥当としているが、ハイエクを自由主義者と呼ぶのかどうか、難しいのでわからず。評価もなかなか難しく、とりあえずふ〜んなるほど、とマーカーで線…

境界の位置

23日から3日間は北海道にいた。1日目、札幌は予想に反して雨、なま暖かい風。道の脇の之は溶けていた。カメラ壊れる。というか写真撮ろうとしたら電源入らず。どういじったらいいかなど分かるはずもなく、空しく電源ボタンを押し続け、イライラ30分もサルの…

ポピュリズム

『戦後政治の崩壊』(山口二郎著・岩波新書)を読んだ。あまり集中できず、はてどんな感想かと問われても、う〜ん。本が悪いんじゃ決してなく、自分の頭ん中が散漫だったんだろう。う〜ン、なぜ読んだのかといえば、この本の前に読み終えた『日本の食と農』…

本質を見抜く力

あまり面白い本ではなかったが、書評ということで。BM技術協会『AQUA』新年1月号掲載予定です…… 『本質を見抜く力』環境・食料・エネルギー 養老孟司 竹村公太郎 対談集だ。養老氏の前書きには「自分が生きてきた時代、様々なイデオロギーに翻弄され…

書評 水

ひさしぶりにBM技術協会の機関紙『AQUA』に書評を寄稿したのでのっけておきます…… 『水戦争の世紀』『水戦争』 21世紀は水の時代なのだそうだ。どちらの本も豊富なデータと事実の連続で勉強になった。水が豊かな日本にいて、読めば何億トン、何兆トンという…

僕が最近読んだ本

申し訳ない。どうもシゴトや巡るいろいろのスピードが僕にとって早すぎまして、いろんな出来事を時系列に報告できずにいる。どうしたものかと今日も酒かっくらいながら悩んでいたのでありますが、とりあえず、掟破りの謗りを甘んじて受けつつ、最近読んだ本…

イタリア有機農業の魂は叫ぶ

久しぶりの書評を書いた。著者はジーノ・ジロロモーニ。この人の話はいつもイタリアに行くときに相談するNさんから聞いていた。農林中金研究所の蔦谷さんもNさんのコーディネイトで行ったそうだから、なんだか親近感あり。Nさん曰く、ジーノこそイタリアの哲…

月の力、季節の力

ときどきおつきあいのあるBM技術協会という団体の機関紙『AQUA』に、書評を載せていただいている。下は今日書いたもの。『旧暦と暮らす』という本の書評、といえるかどうか。とにかく、月は気になる存在だ。月の力、季節の力 著者は三部作の第一冊で、旧暦そ…

イメージを食べる

食の文化は、外に向かって開かれた、ダイナミックな開放系である…食においては、人間は、貪欲に新しい要素を取り入れようとしてきた…私たちの食の文化は、もはや物質的な基盤を離れて、イメージの生産と消費の領域に大きく比重を移している。様々な食べ物の…

おいしいこと、自然に帰ること

私たちは、食べ物の味とは、その食物の物理的属性のことだと考えがちだ…「記憶」とは、過去の体験が脳の神経細胞の間の結合パターンに残した痕跡のことである…ある時点で存在している神経細胞どうしの結合の様式が記憶である…長い進化の過程で、人間の脳が現…

100%解放したい衝動

茂木さんのblog読んでいると、どうもあまりコムツカシイこと考え込むより、そのまま、その場で思い立つこと動くべきことを躊躇せず吐き出したいという衝動に駆られる。そのかわり心のボキャブラリー相当潤沢じゃないと、すぐに井戸は枯れ果てるだろう。それ…

おいしさと脳内快感物質

ここらへんからが農家学者(もとい脳科学者)の真骨頂…あいかわらずの引用… 食べ物に関する嗜好性は、そのことによって生じた摂食行動の結果、食物が実際に体内に摂取され、同化され、身体の一部になるという点において特別な意味を持つ…おいしさが、単に感…

おいしさとコミュニケーション

『食のクオリア』。まだ1/4も進んでいないが、そろそろ内容にドライブがかかり始め。いつものごとく引用から…… デジタルのデータは時間や距離の制約を超えて地球の上を流通していく…食べ物のおいしさ自体には、依然として地方色がある…食は、その土地独特の…

おいしさは言葉で表せるか

言葉は、私たちの食という体験の、ごく一部分だけに張り巡らされた粗い目安のようなものである…とても窮め尽くせないほど無限に広がった味の質感の世界…言葉ことが、人間らしさの根幹をなすという根強い考え方がある。そのような言葉中心主義をとると…言葉に…

シードルの話

先週訪れた長野県さみず村で、りんごの生産者たちと、どうやってりんごで盛り上がれるかと話していた。りんごの品質をあげるのもいいけどジャムとかいろいろ加工品で設けるのもいいねと、でもあれ加工屋さんに二束三文だしなぁ、加工所つくるって言ってもな…

宮沢賢治

ここ2、3日で『風の男 白洲次郎』という本を読んだ。ケンブリッジに学び、政財界に知遇あるも一貫して官職、政治への道を拒み、戦中は百姓をやり、戦後吉田茂首相に請われ日本国憲法の制定に日米間を奔走した。プリンシプルを尊ぶ紳士……。 最近徳とか倫理…

千年働いてきました

やっとBM協会機関紙『aqua』の書評が書けた……*********************** 日本は“老舗”の製造業が際立って多い国だそうだ。海外、とりわけアジアに詳しい著者は華僑、印僑に代表される“商人のアジア”との対照から、日本を“職人のアジア”…

プラトモナスという風景

今日、テレビでスペインの画家ホワン・ミロのことをやっていた。見ていて懐かしく重い、押入れの奥の奥にしまいこんであった美術全集を引っ張り出した。重くほこりをかぶった全25巻の表紙それぞれには油絵の具の跡が残り、引越しのたび捨てようかと思っても…

放牧酪農の中洞正さん

今日カイシャに行ったら、酪農家の中洞正さんから本が届いていた。 ちょうど先週新宿で会ったばかりで、そのとき中洞さんに「本出したのかぜのウワサに聞いていたのにぜんぜん連絡こないんだもんナァ…」と愚痴ったら「いやぁごめん早速送るから」と。 中洞さ…

千年働くという本を読め

27日、磯田さんから「千年働くとかなんとかの本読んでね」と言われた。BM協会※の『aqua』書評らんの原稿依頼だ。この前は3月号でスローフードのことを書いた、その続きの依頼。といってもギャラはないけど。 その本は宅急便で送ってくれるそうで、届いてか…

森枝さんごめんなさい

今年正月あたりに呼んだ本だったが、僕が外国の食のことなどに、改めて興味を抱いたきっかけが『知っておきたい食の世界史』(宮崎正勝)だった。この内容についてはまた別の機会に書きたいが、今日はアンコウの話。この前書いた続きです。 アンコウさばき終…

『エル・ブリ 想像もつかない味』という本を読んだ。

本そのものはどうということはない。登場する世界に惹かれた。“エル・ブリ”はバルセロナから車で1時間、スペインは地中海沿岸の“ど田舎”にある三ツ星レストラン。シェフの名はフェラン・アドリア。そこでは“最新式”のマシンを駆使し、レシピ開発専門のスタ…

来週まででいいんだけどね、

と電話で話され、普段から仲が良くさせていただいているBM技術協会という農業系の団体の事務局長の磯田さんから、書評をかいてくれと依頼された。 「何書けばいいんですかねぇ」とたずねたところ「農家の人たちはこれからいろいろ勉強しないといけないんだ、…

10月31日にイタリアから帰り、

1日はその勢いで時差ボケを利し早朝出勤。この日は呼ばれて静岡泊。 翌日から今日までの4日間を泥のように何にもせず寝て過ごした。この間ブログ止まってました。すみませぬ。 久しぶりの我が家初日は、2日に子どもを保育園に迎えに行き、妻への感謝を込め…

Web進化論の著者、梅田望夫さんの本

2冊目を読んだ。題名がずばり『シリコンバレー精神』(ちくま文庫)。梅田さんが外資系企業の日本人駐在員としてシリコンバレーに移り住んでから退職し独立していく個人のストーリーと、1996年から2000年という時代のシリコンバレーの激動の2つの柱で書き…