2007-01-01から1年間の記事一覧

水のデザイン……向山茂徳さん

ぼくのシゴト先の生産者向け情報紙『Radix News Letter』の12月末発行号(52号)に、向山茂徳さんという方を紹介した。すばらしい方なのでここでも紹介したい。以下…… 自然に還る畜産農場主の向山茂徳さんは1984年、塩山市から茅ケ岳山腹1000mの地に現在の黒…

今日は旧暦11月9日

キーンと冷え込む上弦の月が西に傾く時間、寒寒と帰宅。久しぶりの更新だ。前回が11月22日で25日ぶり?11月に入ってめっきり書き込みも減っていって、今日12月は初めての書き込みだから怠慢だ。 とはいえまあ色々あった。確か木曾に赤かぶを見に行ってから日…

月の力、季節の力

ときどきおつきあいのあるBM技術協会という団体の機関紙『AQUA』に、書評を載せていただいている。下は今日書いたもの。『旧暦と暮らす』という本の書評、といえるかどうか。とにかく、月は気になる存在だ。月の力、季節の力 著者は三部作の第一冊で、旧暦そ…

軍艦島

岩崎さん訪問を終えた翌日は、Nちゃんを空港に送った後、針路を長崎の突端野母崎に向け車を走らせた。野母崎は長崎の、南に突き出た岬。東は橘湾をはさんで島原半島、西の海は東シナ海。長崎市からの何の変哲もない国道は工事が多く、安売り店やコンビニなど…

岩崎政利さん

この人抜きに有機農業は語れないだろう。長崎は雲仙市吾妻町の岩崎政利さんだ。 先月末、同僚のNちゃんと久しぶりに岩崎さんの畑におじゃました。いつもと同じ畑を見て歩き、少しずつ整備が進んでいる研修小屋で話をし、畑の丘から眼下の諫早湾に降りていき…

竜馬がゆく

10月26日に福岡、27日に島原、28日は長崎を経て野母崎、29日は山梨竜王、30日に岩手陸前高田、31日に仙台を経て東京に戻った。11月ばたばたと東京で日を過ごし、この10日間ほどの車中を、ずっと『竜馬がゆく』と一緒に過ごした。きっかけは10月頭の高知行。…

第一回全国有機農業推進委員会

去年の12月に成立した法律で、有機農業推進法というものがあるが、これまで有機農業という言葉の存在すら認めてこなかった国がやっと重い腰を上げ、有機農業を推進することになった。内容の説明は省くが、画期的な法律だ。この法律によって、有機農業の推進…

イメージを食べる

食の文化は、外に向かって開かれた、ダイナミックな開放系である…食においては、人間は、貪欲に新しい要素を取り入れようとしてきた…私たちの食の文化は、もはや物質的な基盤を離れて、イメージの生産と消費の領域に大きく比重を移している。様々な食べ物の…

日本の、これから

農業どうする、日本の食どうする、有機農業どうする、様々に議論されている。今日はNHKでそんな番組をやっていた。題して「日本の、これから」。農水省の政策と今度のWTO帰結を踏まえての世論醸成のような内容を、生放送ながら名人三宅アナウンサーがうま…

茂木健一郎さん

ここ半年マニアックに農家学者もとい脳科学者の茂木健一郎さんのことを気にしていた。先日ネットで偶然茂木さんの講演会があると知り応募、抽選というのでハズレたかなと忘れた頃に当選ハガキが自宅に舞い込み行ってきたのが今日。最前列から2列目真正面。…

木原さんとの約束

今日は僕の47歳の誕生日、奇しくも女房の誕生日でもある。にもかかわらず、神田で元上司、というか僕の大先輩格の木原さんに会って酒をごちそうになってしまった。おいしい酒であった。ガード下の中華屋。名前は失念したが入り口に版画家ai-oのシルクスクリ…

黒潮文化圏

ここのところ鹿児島、高知、房総と興味を持って行きもし書きもした。前々から先輩同僚をつかまえては酒を飲みつつ話していたことがある。日本列島フォッサマグナは糸魚川から富士川を貫いているが、実は東西に走っている構造線があるんだよという話だ。 いつ…

おいしいこと、自然に帰ること

私たちは、食べ物の味とは、その食物の物理的属性のことだと考えがちだ…「記憶」とは、過去の体験が脳の神経細胞の間の結合パターンに残した痕跡のことである…ある時点で存在している神経細胞どうしの結合の様式が記憶である…長い進化の過程で、人間の脳が現…

地球畑

有機農業。なんかいやになるが、僕がこうした業界に身を浸すことになってもう15年?いや17年ほどになる。最初は日本リサイクル運動市民の会という団体が発行する『くらしの木』(なつかしや!)のデザイナーとして関わったと記憶しているが、その当時の有機…

原色

涼しくなってきた。セーターの香りが懐かしくなり、同時に夏の熱い日差しもまた懐かしいようなこの頃。8月初旬、帯広行きの飛行機の中で眩しい光を受けて、機内誌に虹色のカエルがいた。 今、手元に残るその機内誌を手に取って読む。コスタ・リカ。豊かな海…

100%解放したい衝動

茂木さんのblog読んでいると、どうもあまりコムツカシイこと考え込むより、そのまま、その場で思い立つこと動くべきことを躊躇せず吐き出したいという衝動に駆られる。そのかわり心のボキャブラリー相当潤沢じゃないと、すぐに井戸は枯れ果てるだろう。それ…

おいしさと脳内快感物質

ここらへんからが農家学者(もとい脳科学者)の真骨頂…あいかわらずの引用… 食べ物に関する嗜好性は、そのことによって生じた摂食行動の結果、食物が実際に体内に摂取され、同化され、身体の一部になるという点において特別な意味を持つ…おいしさが、単に感…

おいしさとコミュニケーション

『食のクオリア』。まだ1/4も進んでいないが、そろそろ内容にドライブがかかり始め。いつものごとく引用から…… デジタルのデータは時間や距離の制約を超えて地球の上を流通していく…食べ物のおいしさ自体には、依然として地方色がある…食は、その土地独特の…

すばらしき高知…新堀川

その新堀川の話を田中さんから聞いた。 昔からある運河(掘)でその周辺は先にも書いた通り多くの歴史の遺産だ。だけでなく、この新堀川には絶滅危惧種を含む多くの生き物たちが暮らす場所でもあった。その新堀川が、県の計画により埋め立てられ道路に鳴って…

すばらしき土佐

シゴトで高知に行かせてもらった。農産の勉強会。その幹事役を務めてくださったのが、高生連の田中さんという人。田中さんには何度かお目にかかったことがあったが、今回はとてもお世話になってしまった。 勉強会が終わっての夕方。ほんの30分だったが、僕を…

山脇義秋さん、紀子さん

川辺から枕崎を通って、あの日9月8日は、やっと目的地の鹿児島県頴娃町の山脇紀子さんのお宅にたどり着いた。紀子さんとは九州の生産者の会議で何度かお会いしていたが、会いに行こう!と思い立ったのは、紀子さんの明るさ。そして紀子さんが、農家として…

かわなべ森の学校

川辺に来たのは、実はかわなべ森の学校を再訪したかったからだった。2年前、同僚のGと訪れ、廃校のもつ“気”の美しさに感じ入り、結果2006年、“食の文化祭”というイベントを東京足立区の廃校で開催したきっかけになった場所だ。その元は、遡ること4年ほど前…

道の駅かわなべ……薩摩半島

9月初旬。熊本の水俣に行く途中、時間をとって薩摩半島は開聞岳の麓で農業をしている山脇紀子さんを訪ねた。あたたかい、豊かな気持ちを取り戻す良い2日間だった。空港から、まずは車を南に走らせ、2年前も通った川辺町で途中下車…… 道の駅かわなべ。道の…

おいしさは言葉で表せるか

言葉は、私たちの食という体験の、ごく一部分だけに張り巡らされた粗い目安のようなものである…とても窮め尽くせないほど無限に広がった味の質感の世界…言葉ことが、人間らしさの根幹をなすという根強い考え方がある。そのような言葉中心主義をとると…言葉に…

甘楽町…新井俊春さん

群馬県の甘楽町に来た。ここは甘楽町有機農業研究会という団体が活動する場所。代表の新井俊春さんにお世話になっている。11月に予定している勉強会の打ち合わせを兼ねて、この団体の野菜の仕入れ担当のJちゃんと一緒に畑も見て回った。新井さんという人は…

山口マオ

昔の友人、山口マオに会いに行った。15年か20年ぶりあたり。彼は絵描き。 大学でいっしょにバンドやったり大学祭で居酒屋やったり、夜の町をほっつき歩いてはヘンなもの拾ったり、僕が美麻村の遊学舎に通い始めたのも彼がきっかけだ。版画を専攻してしばらく…

おいしさと、脳のなかの感覚統合

…複数の感覚が統合される過程で、統合の対象となっている感覚からは類推が利かないような、新しいクオリアの次元が生み出されるのが、感覚統合のプロセスの本質…味覚に限らない。我々の感覚とは、既存の感覚の組み合わせが、全く新しい感覚の次元を生み出し…

エイサー

これは先週のこと。僕の済んでいる相模原のとなり町の町田でエイサー祭りをやっているというので家族で見に行った。9月に入り凌ぎやすい涼しさになってきたなと思っていたら、この日はまるでエイサーを盛り上げるためのようにムチャ暑く、真昼間、アスファ…

旭山動物園

遅い夏休み。9月の初旬、家族で富良野に。旭山動物園に行きたいというのでついて行く。人気の動物園との前評判どおり、園内は家族連れで大賑わい。ここは北海道ということだけあって、白熊とかアザラシとか、北の動物が多い。僕は動物園といえばアフリカ、…

なぜ、人と食べるとおいしいのか

…私たちはお互いが何を感じているかということは決して知ることができない…にもかかわらず、場を共有している人たちの間で、「食事が楽しい」というような気分が伝播していく背景には、感覚の壁をこえてノンヴァーバルなコミュニケーションを実現する脳のメ…