木原さんとの約束

buonpaese2007-10-18

 今日は僕の47歳の誕生日、奇しくも女房の誕生日でもある。にもかかわらず、神田で元上司、というか僕の大先輩格の木原さんに会って酒をごちそうになってしまった。おいしい酒であった。ガード下の中華屋。名前は失念したが入り口に版画家ai-oのシルクスクリーンが掛けてあった。料理もウマかった。
 最近由布院に木原さんのマブダチのIさんと行って元スローフード協会由布院の親分、元ミュージシャンのTさんが落馬で大怪我したのを見舞いに行ったとか、道路公団が苦労している道路ノリ面の除草対策にヒョータンから駒の植物生育抑制有機資材を開発して近く億万長者になる予定だとか、最近買ったデジカメixyを3万5千円でgetしたとか、いつものように軽妙自在意気軒昂、酒量もいつもながら多く、しかも早い。僕の一回り年上の、ああ木原さん健康そうだな、あと10年もすれば一流の好々爺かなと楽しかった。なんであんなニコニコできるんだろう、人間出来が違うと、こんなにも違うなぁと反省。

 実は僕のこのblogの“おいしい村”という名前、2つのヒントから生まれた。そのひとつは、だいぶ前にも書いたが、イタリア語の“Il buon paese”から。これは直訳すると“good campany”になるのだが、これを勝手訳。そしてもうひとつが、木原さんに関係している。冒頭木原さんを元上司と言ったが、木原さんが昔代表も務め、僕の現在の拠点でもある“ら”社を辞した後、手作りで立ち上げたホームページの名が“おいしい風土”という。この“おいしい〜”という語呂が好きだったのだ。
 それを語ったら木原さん、「あれはいま休止中。そこら中からデジカメ写真は届くわ、いちいち相手してられないしさぁ更新がたいへんになっちゃったんだよ」とおっしゃるので、最近はblogというのもあるからもっとラクにできるんですヨと助言。なにしろWEBの世界は5年も昔ははるかの昔。当時の手作りHPは、確かに手間ばかりかかったもの……
 さて、この日は酒も進みお互い気持ちよくなって、その木原さんから“お前はどうして絵を描かないんだ”となぜか一括された。
 絵を描けと。
 僕の言い訳は、簡単に言えば僕は才能が無いんですヨということなのだが納得してくれない。確かに若い頃芸術家を志し倍率の高い美大に現役で入学したかも知れないが、世の中は広いなぁと素直に、あらためて感じ入ったのが大学に入ってから。そこで遊んだ友人の何人もがアートの世界で結構頑張っているが、正直すげーやつがゴロゴロしていたのだ。
 僕がその時代をどう(ささやかに)誇りにしているかというと、一流とはこういうことを志す、こういう世界を思い描く、といったリアルな場を、仲間と共有できたこと。世に出て絵ではなく生きることを決めたその後も、自分の直感で一流を嗅ぎ取るクセを(最近ホコロビ始めている感なしとは言うまいが)いまだ保っているつもりがある。言葉以前の領域の勉強をしたおかげで、何かを言葉に落とし込もうとするその技術は拙くとも、伝えたい本質をはずすまいと努力するクセ(手前味噌でこめん)も抜けてないと思っている。
 ところがどう説明してもキハラさん、絵を描かないことをナットクしてくれない。
 で、よおしと切り返し。誕生日の話を持ち出した。「わっかりましたァ。僕木原さんに絵を描くこと約束しますよぉ。そのかわりですネ、今日は僕の誕生日ですから、キハラさんがかぶってるその帽子僕にくださ〜い」と。「おうわかった。もってけドロボー」とキハラさんの帽子get。帰り際「楽しい時間ありがとうございました。こんな楽しいから、半年に1回ぐらい飲みましょうヨ」と挨拶。キハラさん「やだよ〜、その前におまえはしっかりしろぉ!」とまた一括されちゃった。
 しっかりしなきゃ47歳。あと3年で50歳!!!!!