黒潮文化圏

buonpaese2007-10-15

 ここのところ鹿児島、高知、房総と興味を持って行きもし書きもした。前々から先輩同僚をつかまえては酒を飲みつつ話していたことがある。日本列島フォッサマグナ糸魚川から富士川を貫いているが、実は東西に走っている構造線があるんだよという話だ。
 いつだったかは忘れたが、東京から熊本に飛行機で飛んでいた折、ず〜っと窓の下の景色を眺めていて気づいたことがあった。その航路は御前崎を東西に走る海岸線から始まり阿蘇山の真上にまっすぐ。東西に走る知多半島から和歌山紀ノ川、淡路島を隔てて徳島吉野川、愛媛佐田岬を通って、阿蘇山にたどり着いた。飛行機はそこまでで熊本空港に到着して、へぇ〜、はぁ〜ずっとまっすぐだったなと感心した。降りてから機内誌の地図を改めて眺めると、なるほどまっすぐ東西を貫く横断構造線だということがわかった。
 しかもそれは、御前崎から東はちょうど房総鴨川の川の流れに、阿蘇から西は熊本三角半島を経て天草に抜けることもわかった。で、その後思いもかけずこれはと思ったのが、この横断構造線を境に、実は人の気質も違うし、植生も違っていること。
 九州で言えば阿蘇と三角半島を結ぶ線の北はなにやら都会的な反面南は太平洋系だ。同様に四国佐田岬吉野川を結ぶ線の南北も瀬戸内文化圏と太平洋文化圏。本州でも紀伊半島吉野川の南は、いわずもがなの中上健二熊野の世界であって、北は高野山の上にあたる古くからの京阪奈の文化。静岡で言えばこの構造線はちょうど東海道線でその南の海側は西南暖地、早出し茶の産地が南方にあたり、東海道線の北とは違う。伊豆半島はすっぽり南に属し、房総鴨川の南は安房であり北は下総上総の地だ。
 そんなことを、この前房総千倉にアトリアを構える絵描き、山口マオに聞いたら、そうなんだよ、鴨川から南はぜんぜん違うんだよと言っていたので、どうも僕が考えたことは事実としては東南アジアの植生を南北に分けて生態系の明確な相違を指摘したウォレスのウォレス線よろしく、アマネ文化生態系構造線とでも命名しようかと思っている。ホントに違う。人が。
 ま、言いたいのは、この構造線の南は、とても明確に“黒潮文化圏”だということでありました。写真は酔っ払うとノートに描きながらこれを説明するの図。