すばらしき高知…新堀川

 その新堀川の話を田中さんから聞いた。
 昔からある運河(掘)でその周辺は先にも書いた通り多くの歴史の遺産だ。だけでなく、この新堀川には絶滅危惧種を含む多くの生き物たちが暮らす場所でもあった。その新堀川が、県の計画により埋め立てられ道路に鳴ってしまうのだそうだ。田中さんもそりゃいかんと反対の運動を手伝っている。残念なことは、コトに気づいたのが埋め立ての決定後だったそうで、環境派でもあるかの橋本高知県知事への陳情も「いやあもうすこし早ければねぇ」とすげなく、当の知事も11月には退職とのことで、どうも元気がない。
 にもかかわらず田中さんの話は元気だった。アカメという魚(スズキ)の稚魚のゆりかごが新堀川の流れ行く先の境川流域であることや、汽水域でもあるこの新堀川にシオマネキがいる、などなど。
 恥ずかしながら昨年の春、僕たちが東京で催した“食の文化祭”にも出張ってくれ、新堀川の生き物たちのことを熱く語っていたことを思い出した。

 田中さんは、昔八百屋さんだった。有機農業の八百屋。今は有機農業をしている生産者の野菜を取りまとめて生協やいろんなところに卸すシゴトをしている。最近は有機農産物JASなど国の基準もできて、そのお墨付きの輸入有機農産物なんかも増えてきているが、田中さんの会社、高生連は高知県とその周辺の有機農業の生産者のお付き合いだ。いわば野菜の産地問屋さんなのだが、新堀川なのである。そこが大切だ。