甘楽町…新井俊春さん

buonpaese2007-09-28

 群馬県甘楽町に来た。ここは甘楽町有機農業研究会という団体が活動する場所。代表の新井俊春さんにお世話になっている。11月に予定している勉強会の打ち合わせを兼ねて、この団体の野菜の仕入れ担当のJちゃんと一緒に畑も見て回った。新井さんという人は有機農業のロマンチストだ。
 それぞれが独立し独自の有機農業の技術を持つ、まだ見ぬ遠くの仲間と、夜を徹して語り合いたい。
 それが新井さんの描く学びの場“めだかの学校”のイメージだと今回知った。新井さんはトマトとかの果菜類と、葉物関係の路地野菜をつくているが、それぞれに有機でつくるには長い年月をかけて試行錯誤を繰り返した蓄積がある。農薬や化学肥料を使わずに、病虫害を打ち負かし、どうやっておいしい野菜を育てるか。有機農業の世界はある意味孤独な世界で、先生はいないしその土地ごとの様々な試行錯誤の連続と言える。
 あるとき北海道で有機農業をやっている生産者(女性)が「ああ時々みんなで集まるだけで元気が出てくるよ」と言っていた。それぞれの土地で有機農業をしている人は少なく、回りが除草剤1発畑にふって終わりにする作業も、有機では毎日の草取りとの戦い。「さっさと薬播いちゃえばいいのに」との無言の批判に耐えつつ畑に向き合う孤独さも、年に1回の同好の志との会合ですっきりさっぱりできるということだ。
 新井さんは慰められたいとは考えていないが、自分の技術や工夫を、それがわかる仲間に伝えたい気持ち、自分と同じような技術水準の仲間の話を聞きたい気持ちを強く持っている。それを称して彼は“めだかの学校”と呼ぶ。春にここを訪れたとき、僕は甘楽有機の皆さん、昔は誰もが蚕と共に暮らしていたと知り、20人弱のみんなが有機という志と、養蚕という山と畑の思い出を共有している絆なのだと知ったが、一本立ちの有機農家としての新井さんが、より大きな意味の仲間を希求していることに、少しならず感激した。新井さんの求める仲間が、仲間として集う場を、僕はつくってみたいと思う。
 昼の畑では空芯菜ツルムラサキ、キウイ、シイタケ、サトイモと見て回る。サトイモ畑ではタカキビと思しき植物に出会い、おおここにも昔から雑穀との交流があったかと聞くと「これは風除けの緑肥用のソルゴーだよん」とがっかりしたり。

 空は高く秋も深い感じだ。中秋の名月が続く。この日の夜は甘楽の皆さんとBBQ。名月名月。