原色

buonpaese2007-10-12

 涼しくなってきた。セーターの香りが懐かしくなり、同時に夏の熱い日差しもまた懐かしいようなこの頃。8月初旬、帯広行きの飛行機の中で眩しい光を受けて、機内誌に虹色のカエルがいた。
 今、手元に残るその機内誌を手に取って読む。コスタ・リカ。豊かな海岸という意味だという。その虹色のカエルは、アカメガエル、だろうか。トゥゲーロ国立公園、プエルト・リモン、ホエザル、グリーンバシリスク、ポアス火山、平和の滝、サンフェルナンドの滝、ハチドリ、ナマケモノカリブ海…どれも僕の知らない色、生き物、地名、海。せつなくも機内誌に映る原色のカエルを眺めつつ、パチリ。
 脳の構造はジャングルのようなもので体系化され得ぬ領域が広がっているという。ジャングルのどこかひとつが揺らぐことが、まったく関連がないように思える遠くのジャングルに何らかの影響を与えるように、いまだ解明されていないメカニズムがひっそりと佇んでいるという。僕が知らない、紙の上に照らされた原色のカエルが棲むジャングルのように、世界は原色で構成されているのかもしれない。