旭山動物園

buonpaese2007-09-23

 遅い夏休み。9月の初旬、家族で富良野に。旭山動物園に行きたいというのでついて行く。人気の動物園との前評判どおり、園内は家族連れで大賑わい。ここは北海道ということだけあって、白熊とかアザラシとか、北の動物が多い。僕は動物園といえばアフリカ、ターザン、ジャングル大帝と連想してしまうので、北海道で動物園っていってもなぁと、あまり乗り気ではなかった。混んでいるし面倒くささが先に立っていた。


 ……のだが、楽しかった。
 それは、あべ弘士さんという絵本作家の存在による。この人は、もともと旭山動物園の職員として25年間勤務していたそうで、どうも園内そこらじゅうの絵の看板などをたくさん描いていたようなのだ。僕がこの動物園で楽しかったのは、何を隠そう、そこかしこに優しく佇む様々な絵たちがあったからなのだ。
 その絵たちは衒いもなく動物を眺める子どもたちの心の楽しさを映し出しているようだ。アザラシも、ペンギンも、決してこの絵の世界のようにのほほんとはしていないのだろうが、この、のほほんとした絵があることで、子どもだけでなく、来場の客みんな、自分も含めて、その心の楽しさに引きずられていく。ま、いいかと、顔がほころんでいく。
 ここの動物たちとの出会いはこの日だけ、この瞬間だけど、なぜか、出会ったそれぞれ絵の中に、瞬間瞬間の、動物たちの表情が入り込んでいったような気がする。あべ弘士さんが描いた、この動物園の絵には、そんないのちが吹き込まれていってるような気がしたのだった。このうれしいような場の雰囲気にチューニングがぴたり来たのか、僕の息子も道に座り込み絵を描き始めた。天才!トナカイだ。