おいしい村/考えごと

おいしさと、脳のなかの感覚統合

…複数の感覚が統合される過程で、統合の対象となっている感覚からは類推が利かないような、新しいクオリアの次元が生み出されるのが、感覚統合のプロセスの本質…味覚に限らない。我々の感覚とは、既存の感覚の組み合わせが、全く新しい感覚の次元を生み出し…

なぜ、人と食べるとおいしいのか

…私たちはお互いが何を感じているかということは決して知ることができない…にもかかわらず、場を共有している人たちの間で、「食事が楽しい」というような気分が伝播していく背景には、感覚の壁をこえてノンヴァーバルなコミュニケーションを実現する脳のメ…

盛りつけの美しさとおいしさ

「美しい」ということを人間の生の根源に立ち返って考えてみると、そこには、触り、撫で回し、舐め、食べ、同化するという食の様々な要素が立ち現れてくる。美しく飾り立てられたものがやがては壊され、食べられてしまうというはかなさの中に、単に「見る」…

おいしさの安全基地

人間の「おいしさ」の基準は、半ば生物学的に決定づけられた、半ば学習の結果得られた、脳内記憶過程によって決まる…イギリスの心理学者ボールビーは、幼児が安心して新しいことを探求するためには、母親のような保護者が「安全基地」を与えることが必要であ…

まだ見ぬおいしさを求めて

この間自分が、ちゃんと整理して頭に入れておきたい本が茂木健一郎さんの『食のクオリア』だ。2回読んだが、3回目は気になる部分の抜粋を以下に試み、それぞれに僕のいる世界からのランダムな感想を加えて、その抽出作業から、時間を使って何かが構造化さ…

911

今日は911の日。僕がこのblogを始めて間もない去年の今も911について書いたのだった。その頃を思い出してなぜかこの1年の時間がいとおしいキモチを抱いてしまった。昨日は通常国会の所信表明演説で安部首相がしょーもないことを言っていた、ことを鹿…

ローカルなルール

文脈主義を越えたらいろいろ整理ができてきた。が、まだ横たわっているものがあるな、と感じたのは、昨日とある財団のKさんの話を聞いてからだった。 まず、文脈主義のことを、Kさんとは別のある人は共同幻想と書いていた。主義主張宗教思想そのすべてが人間…

流れる

智に働けばカドがたつ、情に棹させば流される。だからアホになる……と桑田が唄っていた。う〜ん、そういうのならウケる唄になるのね。要は自分がアホになってるの、みんなわかってるんだ。微妙。こういう唄っていいよね、って思う人、ラクだなぁ。こうして結…

メインフレーム

ベーシックな仕組みはだいたい合っているが、それだけではどうもうまくいかないから、それを補う意味のサブシステムを考えるべきだという考え方と、もう根本的にこんな仕組めでは立ち行かないから、その抜本的なことを変えようという考え方は、発想からして…

脳ミソに釣り糸をたらす

ぼんやり考えていたのは絵と詩と食。 描かない奴に何がわかるのかな、ってことや、今日作った料理から、ああ気持ちが開くってのはおいしい料理食べてるときなんだよな、って自分が思ったことでどういうことなのかってこととか。 理想のない現実主義者っての…

風景、美ってなんだろう

食と農を考えるポジションとして、風景と美を置きたい。 食と農をそのことだけで根を詰めすぎると煮詰まってしまう。たとえば世界共通のモノサシは何かという宿題をもらって食なり農業なりそれぞれ単体で答えを捜していったら、食はファストフード、農業は貿…

文脈主義からどんどん脱却だ

思えば僕は、けっこう長い間文脈主義に囚われていた気がする。 それは第一に、有機農業運動というものが文脈主義そのものだった。第二に、学生時代から権力への批判的姿勢のような観念が体に染み付いていること。第三に、自分に甘く人にキビシイという性格。…

幼児化という言葉

最近はまっているのが茂木健一郎シリーズなのだが、以下思ったことは本ではなくて何かの講演記録で話されていたことからの連想だ…… 講演で茂木さんが言っていたのは、“美”というものは個別的かつ主観的なものなので原理としてひとくくりに出来ないのだ、とい…

可能性を示す

長い引用だ…… アーティストは創造力を形にする。創造力を日夜思い巡らして生活しているので、世の中が正解と間違い、〇か×かだけではなく、たくさんのオルタナティブな道があることを知っている。アーティストの創造力はその結果や答えではなく、過程を大事…

イメージを追いかけることの答え

もともと絵ばかり描いていて、そんな自分が食の世界に入り込んでしまったのは運のつき。それでもなかなかにこの世界はオモシロイ。自分が頭を働かせるのを面白いと思ってしまって、今日まで来たような気がする。それは、この世界にも言葉にならない世界があ…

機能主義、文脈主義を超えて

食や農を巡っての有機農業運動や環境保全からの取り組みは、畑や田んぼの外側のことを問題にしてきた面がある。「外からの悪しき流入」を農薬や化学肥料も含めできるだけ排除して、本来の循環の中に畑田んぼを位置づけて、それを評価しようとしてきた。こう…

美というもの

茂木健一郎さんの講演録を聞いて思いあたることがあった。それは美というものの存在についてだ。 まず、美というものは機能、性能というモノサシで計れるものではなく、また、美術作品の良さを評価するときに、その来歴や、作者の有名さ、もとよりその作品の…

美しい風景

自分の憧憬から出発している“おいしい村”のイメージだが、それを記して、ちょと考えを進めてみよう。幸い今日は扇風機の調子良く、僕のもう一つのパソコンはクラスターチェックとかを勝手にやり始めてしまい、シゴトができないので。 自分の憧憬は1991年に発…

プレモダンからポストモダンへ…食べものの境界線2

情報はネット、リアルはグローバル物流。 ……僕には過激に聞こえる梅田望夫さんのサバけ方。実は内心気になり始めていた。国産とか自給とかの叫び声に、どんな必然性があるのかと、いま一度考えてみたかった。国産とか自給とかへの固執はもはや不自然なんじゃ…

食べものの境界線

やはり来た。2日前僕は“食べ物の境界線”という題を書こうと考えていて、それを紐解こうと、まずスローフード協会会長の『スローフードバイブル』を少し読み直し、次に自家採種の有機栽培農家、長崎に住む岩崎政利さんの話していたことを整理しようとしてい…

梅田さんの作品

ここのところの続きでweb進化論周辺のこと。ポジティブとかオプティミズムとか、善悪とかで様々に議論が続いているような今現在について。 まず僕自身のこの本との出会いを含むその頃の経験から思い出すと、目ウロコのひと言。遅ればせながら手に取ったのが2…

書評キーワード

『フューチャリスト宣言』を読んだ。茂木健一郎さんと梅田望夫さんの対談で、全体感としては「今の社会は知的に解放されていない」「webで世界が明るくなる」「次世代を育てて生きたい」というような話を柱に、すでにweb進化論で開陳された予定の世界が追認…

進化の話題とカルフォルニアあたり

この前触れたカルフォルニアの件、続きがある。『web進化論』で触れている“進化”についてだ。インターネットによって“情報そのものに関する革命的変化”がすでに始まっていると説くこの本で、こうした環境に身を浸し育っているこれからの世代、ちょうど今中学…

食文化から見た地域の重要性について

先週スローフードジャパン事務局から問い合わせあり、日本農業新聞のインタビューを準備してほしいと依頼され、思いつくままに書いてみた。島村菜津さんにしゃべってもらう予定で、日の目を見ないので。僕はこう考えている……Q: 「日本農業新聞の80周年キャ…

For the Children

FOR THE CHILDRENThe rising hills, the slopes, of statistics lie before us. the steep climb of everything, going up, up, as we all go down. In the next century or the one beyond that, they say, are valleys, pastures, we can meet there in pe…

web進化論3回目

また読んだ。最近、読む本の気になるところにマーカーつけまくっている。これをキーワードとみなして羅列すれば、修飾を排した読者の興味のありかを反映すると思い転記してみた…… 旧世代とは違うリテラシー(表現能力)を持った人たち 「wisdom of crowds」(…