セルリアンとオーレオリン

 この前書いた、色の話。色といえばまず思い浮かべるのがセルリアンブルー、そしてオーレオリンだ。絵を描いたことのある人なら知ってると思うが、ふたつともとてもきれいな色だ。

 セルリアンは確かラテン系の言葉で空色のこと。空の青。対するに海の青はウルトラマリンブルー。この空の青は、ほんとうに空の色ってこんな色なんだろうなというくらい空の色をしている。化学的には確かコバルトブルーとチタンホワイトにフタロシアニンブルーを混合してできる色なのだが、とても不安定で、しかもほかの青色より高い絵の具だったから、美大生だった僕ら仲間ウチではとても大切に使い、混ぜないで使うのが上等とされていた。だからこの色が、画面でピタリしっくり決まると、描いた本人だけでなく、みんなが、いい決まり方できたね、と喜んだ、そんな美しい色なのだ。
 オーレオリンは確かオルレアン。オルレアンはフランスのロワール地方の街の名前で、ジャンヌダルクが身を挺して解放した場所だったのかなと思う。行ったことはないが、この色はとても不思議な色で、メディウムに溶かずに使うと単なる明るい黄土色、もしくはイエローオーカーのちょと切り口変えたような、要するに土の色なのだが、薄めて使うほどになんと色が鮮やかになっていく色なのだ。そんな土のいろがオルレアンの土なのかと、行ったことのない土地オルレアンにあこがれたものだった。そのくらい美しい“土”の色なのだ。