エネルギーと食糧

以下2月ごろに書いたもの……

 暖冬で冬の野菜出荷が全国的に前倒しになり、春の端境期、需要の穴埋めが難しいそうだ。これを埋めるに手っ取り早いのはその時期に出荷のある地域から広く買い付けること。
 一方、地球規模で買い付け先を模索しつくしたのが穀物とエネルギー。昨今の石油価格上昇の背景には、中国インドの需要増大や産油国の生産力停滞に投機的な動きが加わった結果と聞く。これじゃたまらんとアメリカがトウモロコシの燃料化に目をつけた結果、飼料や食品原料の相場が急騰している。今後も余談許さずで、温暖化やハリケーン、干ばつなどの不可測要因があり、高値が収まる気配は薄い。これらを輸入に頼る日本としては、対策にも時間がかかり、いわば“時の端境期”はしばらく続くだろう。
……前々から議論されていることではあるが、これらを見越し、つくり手としてどのように対策するか。その代案を話題に引き寄せ、世論とリンクさせる努力も必要だ。

 ……現在この状況はますます深刻になっている。食品原料価格は石油要因に穀物要因(トウモロコシだけではない、大豆も菜種も!)が加わり、国内の食品大手は次々と製品価格値上げを打ち出しているが、中小メーカーは小売大手の圧力からそれができない。多くを輸入穀物資料に依存する国内の畜産農家も然り。生産維持の体力を、より不利な状況で輸入肉との競争でどこまで維持できるのか。
 5月に来日していたレスターブラウン氏の日本農業新聞のインタビュー(27日付)で、氏は、石油高騰→穀物エネルギー着目→穀物相場高騰→食糧問題という流れに、食糧安全保障の重要性を力説していた。かつてエネルギーと食糧が同軸で語られたことはなかったとしつつ、世界の穀物在庫が近年歴史的な低水準にある中でのエタノール需要、ということを指摘する。とすればそのしわ寄せは関連物資の価格高騰もさることながら、いやがうえにも飢餓を助長することになるだろう。