モクモクファームに寄ってきた〔2〕

1日1万人

 出店は飲食が9割とお土産。すべてがお金を必要とするので入園料は何だったのかと思い返すと山の上に行くとき入場券をチェックされて、確かに上では子豚さんショーかなんかやってたな……。ということは下だけなら入場料はいらなかった訳で。そういえば入口の門の脇は出入り自由だったな……と。特に無農薬とか有機とかにこだわってはおらず、お土産にもレストランのメニューにも食指はピクリともせず。
こんな田舎まで来て並ぶのもばからしいので行列してない屋台風のとこでフランクフルト315円(高い!)を買ってそこのお兄ちゃんに「混んでますねぇ、1日何人ぐらい来るの?」と聞くと「昨日で8千人で今日はもっと多いので1万人ぐらいですかねぇ」と。その兄ちゃんの名札には「役員経営企画室」とあったので従業員総動員体制なんだとわかった。

農業版ファミレス

 いささか表紙抜けの心持で、この景色はどこか見覚えがあると思い出すと、周辺がのどかな農村であることを除けば、ショッピングモールだ。明確に来園者の表情は「客」であり、順番待ちの行列待ちを当然のように受け入れ、多分ここで食事をして、子どもにアトラクションを見せ親は買い物をして、ゆっくり(もできない混みよう)芝生で寝転んでウチに帰るという予定をこなすために400円を払っているもよう。
 農業体験、グリーンツーリズム、農家が経営の成功事例…は飛んで、あこれは新手の農業ふう店舗経営ビジネスなんだと先入観を改めざるを得なかった。であればがっかりするのはお門違いで、少し冷静に全体を眺めなおすと、なるほどと思える点もみえてくる。
 客は行列待ちに文句も言わずイラつく様子もなくむしろニコニコ顔、子どもたちは楽しげ。田舎の空気吸いながらごはん食べて半日つぶせるから近くのファミレス行くよりまし。遊園地で子どもに引き回されて行楽疲れするより断然ラクだしお金かかんない。モクモクってカンキョーに配慮してるみたいだし農家の皆さんがやってるみたいだから他のとこより応援してあげたいみたいな気持ちもあるかな。……見事客のツボを押さえてるではないか。
 でもコレってありなんだろうか?