有機野菜を誰でもが食べられるような社会を創りたい!

 らでぃっしゅぼーや。1988年に開始された、この若く元気で新しい取り組みには、スタッフ全体の熱意がはっきりと存在していて、それまでどちらかというと醒めていた消費者ばかりか生産者までもが、その熱意に伝染していったような気さえする。

かつて、らでぃっしゅぼーやの母体・日本リサイクル運動市民の会の高見裕一代表は、運動に不可欠なコミュニケーション深化のプロセスは、参加・共感・納得・信頼の順であるとアジテートしていた。この最初の入口である「参加」という行動を市民が起こすためには「誰もが参加しやすいシステムと場づくり」が不可欠とも説いた。

この考えはそのままマスマーケティングの手法にはまる。ユーザーはまず「参加しやすいシステムと場により参加」し、そこで提供される何らかの「コンテンツに共感」することが購買行動を生み、購買したそのサービスに「納得」することが最終的には「信頼」に結ばれ、強い紐帯として結実していく。

ただし当時は「誰もが」に前提を置いていた。一対多のコミュニケーションビジネス、B to Cコミュニケーションを標榜していた。らでぃっしゅは小規模で「食の提供者」としては巨大な競争相手が立ちはだかるが、「システムと場」においてはユニークであって、競合先は無きに等しく、ゆえにそのユニークな「「システムと場」」への認知度向上に注力することが戦略化されていた。一対多かつBtoCの局面で当然のごとくマスコミや行政の力を意識的に活用していった。

こうしたプロセスを繰り返すことによって、草創期のらでぃっしゅが形作られていったように思う。わかりやすく参加しやすいをモットーに、大地を守る会から受け継いだ有機農業運動の理念を、市民運動とアマチュアリズムをミックスさせたような若さの中に消化吸収させ「元気がオシャレ!」と唄った。通ではなく普通の人々におおいにアピールし、その全体は新しくもあったのだ。