小泉正浩さん

buonpaese2008-01-22

 彼の家庭は温かい。父ちゃんは父ちゃんらしく、母ちゃんは母ちゃんらしく、子どもは子どもらしい、のびのびと、すっくり大地に育った有機農業の家庭だと思う。それは父ちゃんの人柄。農業の技術以前に家族を見ればそれがわかる気がする。彼の有機農業がうまくいっているとは聞かないし心配もされる。なかなか畑は難しいらしい。
 経済に明るい人は人を雇えと言うが、彼は家族営農の姿を思い描いてしまう。
 親父さんがなくなって以来、牛を飼いながら畑もこなして限られた人手で1年を切り盛りするのは限界があることはわかるが、人を雇ってまでする農業よりも、多少は苦しくても、目の届く範囲で自作の家族営農を選びたい。悩みどころだが、それを決めるのに、結果としてじっくりと時間をかけてしまう。まわりはやきもきもするが、その間も子どもはすくすくと育っている。
 技術に明るい人はこうしろああしろというが、彼は循環、自給の姿を思い描いてしまう。
 あの肥料がいい、この肥料がいい、堆肥だけでは管理しきらんなとはわかっているが、自分の育てている牛の堆肥で、その堆肥をより良く改良すればなんとかなるっちゃないかなと、畑に入れては様子を見るが、思うようには行かないらしい。病気もでるし、でも薬は使わない。だから作物が穫れないが、その間も子どもはすくすくと育っている。
 ロマンチストといえばそうかもしれないが、僕はそれだけとも思えない。オヤジが死んだことを引きずってると言う人もいるが、僕はそうとも思えない。宮崎木城の、太古からの人暮らす広い丘の上で、つましいがゆったりでっかく構えた暮らしを、自分の代で確定させたい。そんなふうに思っているのが、彼小泉正浩なのだと思うのだ。しかしまあ、作物の声や土のようすを感じる感性、計算も時には必要な賢さだと割り切るような理性。それらにのめりこむような小っちゃい人物ではないので、飲み込んで使いこなす寛容さが、今よりもっとでっかく育つ気はするのだ。
 その証拠に、彼の家庭は温かい。父ちゃんは父ちゃんらしく、母ちゃんは母ちゃんらしく、子どもは子どもらしい、のびのびと、すっくり大地に育った有機農業の家庭だと思う。それは父ちゃんの人柄なのだから。
 小泉正浩は、大地の子じゃ!