今日は成田周辺をうろついていた。

 シゴトで。久しぶりのここいら辺。時々出張で空港には行ったのだが、周辺の畑を巡ったのは10年以上ぶりのこと。特に昔お世話になっていた農家のATさんのところに行く途中の風景の懐かしさ。

 大学生のころ千葉にはよく通っていた。

 千葉に住んでいたのと、流木拾いの趣味と。ボロい車で、春とか秋とか、海水浴客で道が渋滞しない頃、海が静かな頃に通っていた。通り道の細い道すがらの民家や雑木林、生垣。アップダウンのくねくね路は迷いやすく、必ず方向がわからなくなるが、迷うほどに静かで小さな棚田、緩やかなカーブの広くて真っ黒な畑の土。とても緑が多く、東京からわずか1時間でこんな風景があるのかと、とても好きな場所なのだ。


 野菜をつくっている農家の人々が好きで、その苦労話を聞くにつけ、ちゃんと伝えて売れることが大切だと写真を撮り、原稿を書き、体験ツアーを企画して、色々やってきたが、その思いが再燃した。

 やっぱいいナ。この風景なら、僕は記憶に留めたい。単に畑に来てもらうだけではなく、この土地の歴史、風土、風景を、ちゃんと残さなくてはいずれなくなってしまうだろう。と言うのも、ATさん宅に至る国道の曲がり角が昔の面影を消し、ローソンになっていたことを含め、そこかしこのディテールが間違いなく失われていることに、心のどこかがズキンと痛んだからだ。

 そういう意味で、写真も撮り、文章も書き、できるだけ記録したい衝動に駆られたのだ。多分自分のフィルターになってしまうのだろうが、それは万人受けすることを気にしなくてもいいことなのではないかと、やけに合点がいったのであった。できることなら格調高く、自分の興味、自分のセンスで。