ワンデイシェフ……さみずの山下和子さんその3

 さてその和子さんがやりたいこと。それはワンデイシェフという、今各地で小さな広がりを見せている取り組みにインスパイアされているとのことだ。って何かというと……

「誰もが自分の色で輝ける社会の創出」を理念として、レストランの運営を通して「食」に関心を持つ人たちが、自発性と自己責任をベースにした新たな関係性を築きながら、コミュニティづくりをしていくことを目的としています。

……三重県四日市の“こらぼ屋()”という人たちが考え出したワンデイシェフの説明。詳しくはHPを見て欲しい。名の通り、1日シェフを楽しもうというものだが、なるほどと思う何かがあるナと思う。

 中心軸を持たない、ヨコに広がる運動だ。このアイディアを単体のお店だけでやるなら似たような企画はいくらでもあった気がするが、同様の取り組みの店をたくさんつくってつなげようと言うのだ。それは平面的(地図的)に見れば(1)ランダムなネットワークに見える。点で見ると、各地をかけ持ちするシェフは(2)様々な地域の広がりに見えるし、各地の“場”を受け持つ人は(3)多様な価値の集まる空間に見える。流れに乗りながら、動きながらその気分を感じるなら(4)地域や流儀に囚われない良心のエッセンスを感受できるかもしれない。
 そんなふうに、関わる人の視点によって見え方が違う、しかもそれが当たり前のように進んでいく“流れ”のようなものを備えている。善きこととは、どのように流れていくものなのだろうか。